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部屋に戻って最初にしたのは冷たいお水を飲むことだった。
南青山から広尾までの道のりで、さすがに身体の火照りは収まったのだけど。
どこか落ち着かないからだ。
時刻は午後二時。昼下がり。
窓の外には白いテラスの向こうに絨毯のような芝生が敷き詰められ、周りを取り囲むのはトロピカルな夏の花。ここは大学職員の官舎だけど、設備はまるでリゾートホテル。
だから、ぼくのような庶民の住む場所じゃないと思うし、泰征くんには感謝しているけど。
どうしてぼくの恥ずかしくなることばかりするのだろうって拗ねたくなる。
なんてことを考えていると、ぼくは少しずつ尿意を覚えた。さっき飲んだお水のせいかな。
ぼくはおトイレに行こうとしたのだけど。
「何逃げてんだよ」
と、部屋に入ってきたのは、夏男の匂いをぷんぷん漂わせる泰征くん。
ぼくを追いかけてきたようだった。
たちまち、ぼくはいやな予感に襲われ、後退さる。
けれど、泰征くんの行動はぼくが考えているより速かった。
まず腕を掴まれた。すぐ身体ごと引き寄せられ、部屋を通って外に連れ出される。
彼は教室から逃げ出したぼくに腹を立てているようだった。
そのままぼくはテラスのウッドチェアに突き飛ばされ、椅子の背もたれに押し付けられる。
焦って泰征くんを見上げれば、彼は外だというのにぼくのジーンズのファスナーをおもむろに下げたのだ。
「やっ、な、何するつもり……!?」
ぼくは驚愕を隠せない。
テラスは住居者専用のものだけど、いつどこで誰が見ているか分からない。
それに、今、ぼくはおトイレに行きたいのだ。
こんなところでヘンなことをされたら……と思うだけで、身体が竦みあがりそうなのに。
「帰っていいなんて、誰が言ったよ」
と、泰征くんが凄みのある声で言った。
「だ、だって、またHなことされたらいやだったから……」
怯えながらも、ぼくは精一杯の言い訳をする。
だけど、彼の様子に変化はなかった。
「何生意気なこと言ってやがる。お前は俺のおもちゃだろうが。逆らうのは許さねぇ」
「ご、ごめんなさい、でも、でも……」
「お仕置きだな」
そう言うと、泰征くんはぼくの脚からジーンズを脱がそうとする。
ぼくは心底焦らないわけにはいかなかった。
「悪いと思うけど、ここではやだっ、それに、あの、今すごくおトイレに行きたくて……」
祈るような気持ちで、ぼくは彼を見上げる。
けれど、彼はわずかに考えるような表情をすると、ひどく意地の悪い顔をしたのだ。
「なるほど、拓海はトイレに行きたいんだな」
◇◆◇
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