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「なら、今夜はあなたがここを広げて見せて下さい」
「え……?」
「何でもするといいましたよね。さっそく見せてもらいましょうか。そこに指を出し入れして俺を飲み込むくらいいっぱい広がるところ」
玲士は、まるで、天国から地獄へ突き落とされる気分だった。
彼はさも愉快とばかりに人の手に潤滑剤がわりのオイルを垂らすので、玲士は泣きたい気分になったが、逃げ道はなかった。
しなければ、またあのいやらしい辱めを与えられるのだもの。
しばらくの躊躇いの後、玲士は尻の窄まりに自ら手を伸ばした。こんな情けないことをさせる彼が忌々しい。何が楽しくて年下の男の前で自慰にも似た淫らな姿を晒さなくてはならないのだろう。
けれど、しないわけにはいかないのだ。
目を閉じて恐る恐るそこに手を這わすと、わずかに熱を持つ穴に行きついた。やわらかいそこは昨夜も荒瀬からさんざん可愛がられた場所。
そのことが蘇り、恥ずかしいのに身体の芯がじんわりと燻りだす。その浅ましい感覚をやりすごしながら襞の部分を擦れば、内から甘だるい痺れも沸き上ってきて玲士をいっそう困らせる。
自分の指でなど感じたくないのに……。
と思っても、そこでの喜悦を知る身体の求めるのはさらなる快楽。あたかも彼にいだかる時のように……。
目を開ければ、荒瀬はその様子をあますところなく覗き込み、羞恥に歪む顔も、いやらしい動きをする指先も、男を受け入れる器官にかえられた秘めやかな肛門も、食い入るように眺めている。
野獣のような眼差しで、喰らい付くことを今か今かと待ち構えているかのように――。
ドキッ…と、玲士は心臓の跳ねるのを感じた。
彼の眸にはまぎれもなく情欲の焔があり、玲士はそれだけで心が蕩けだすのを感じないわけにはいかない。
泣きたくなるほど恥ずかしく、こんな意地悪をする彼が忌々しいはずなのに、あるのは欲望を向ける彼にたいする溢れるほどの愛おしさだけ……。
息が上がった。たちまち羞恥を内包する甘酸っぱい感情がこみ上げ、玲士は尻穴を開くと、指をゆっくり差し入れた。
「あ……」
指がやわらかい粘膜に包まれ、玲士はあえかなため息をこぼした。それは、まるで彼に抱かれて感じる陶酔。その感覚に酔えば、覗き込む男がからかうように言った。
「卑猥ですね、そんなに突っ込んで、指で弄くるのが好きなのかな?」
「あ、違、んっ……」
「でも入り口がヒクヒクしてますよ?可愛いそこがまくれ上がって中まで見えそうだ」
「そんなに見るな、よ、やだ、や、あん……」
じんわりとした痺れが内奥から沸き上がり、見られる羞恥がいっそう身体を疼かせる。
はしたない声が隠しようもなく漏れた。白皙の美貌を艶やかに歪ませながら、玲士は淫らな手の運動を開始する。彼にすべてを見られながら、くちゅんくちゅん…と水音を響かせて。
「もう一本指を増やしてみて」
そそのかすように男が言った。玲士は諾々と従う。
嵩をます指を抜き差しすればさらに濃い官能に煽られ、淫らな気分になるのをとめられない。彼が食い入るように覗き込み、恥ずかしいのにそれすらも身体をしどけなく火照らせる。しばらくそうしていると、男が上擦った声で言った。
「指を広げてごらんなさい。ピースするように思いきり」
「そ、そんなことしたら……」
見られてしまう。中まで。
そう思うのに……玲士は意地の悪い彼の言葉を拒むことができない。
感じるのはたぎるような情欲の視線。玲士は切れ長の眸を恥じらいに伏せると、二本の指でそこをゆっくり押し広げた。
「ああ……」
そこを撫でる空気の感触に、自分の淫らな姿をいやでも思い知らされる。すぐ覗き込まれた。
いやなのに、たまらなく恥ずかしいのに……その灼けつくような視線が嬉しいだなんてありえないはずなのに――…。
「よく見えますよ。穴の奥まで」
朱色の粘膜を露出するアナルを覗き込みながら、荒瀬がからかうように言った。
「……も、お前、どうしてそんな、いや……」
玲士はふるふるとかぶりを振るが、視線のそれることはない。
「せっかく開いてくれたんだから、中まで見てあげるのが礼儀でしょう?それとも、見られると困りますか?感じちゃうのかな、このいやらしいお口は」
「スケベ、あ、そんなに……見ない、で……」
制止する声は濡れたように掠れていた。視線に犯されて感じるのは情けないほど淫らな……期待。
彼の熱情をそこにすべてぶつけてもらいたいと、滑稽なほど望んでいる。
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